職場の熱中症は「過去最多」を更新し続けている
厚生労働省の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、2024年(令和6年)の死傷者数(死亡・休業4日以上)は1,257人で、統計を取り始めた2005年以降で最多となりました。死亡者数も31人にのぼっています。これは2015年の472人と比べて約2.7倍にあたり、この10年で職場の熱中症がいかに深刻化しているかを示しています。さらに2025年は速報値で1,681人と、最多をさらに更新しました。
製造業は被災者数が最も多い業種
2024年の死傷者を業種別にみると、製造業が235人で最多、次いで建設業228人、運送業186人の順でした。製造業と建設業の2業種だけで全体の約4割を占めています。工場・倉庫を主な現場とする製造業・運送業は、職場の熱中症リスクが特に高い領域だといえます。
| 業種 | 2024年 死傷者数 |
|---|---|
| 製造業 | 235人(最多) |
| 建設業 | 228人 |
| 運送業 | 186人 |
また、被災のタイミングは約8割が7月・8月に集中しています。年齢別では50歳代以上が死傷者の約56%、死亡者の約67%を占め、高年齢の従業員ほどリスクが高い傾向が示されています。
2025年6月、職場の熱中症対策が「義務」になった
こうした状況を受けて、労働安全衛生規則が改正され、2025年6月1日から職場の熱中症対策が事業者の義務となりました(第612条の2)。一定の暑熱環境(暑さ指数WBGTが高い環境など)で作業を行う場合、事業者には次の対応が求められます。
- 熱中症のおそれがある作業者を早期に発見する体制を整えること
- 熱中症の重篤化を防ぐための対応手順を定めること
- 上記の体制・手順を関係する作業者へ周知すること
なぜ工場・倉庫は暑くなるのか
工場・倉庫が暑くなる大きな原因のひとつが、屋根から侵入する太陽の輻射熱(放射熱)です。金属の折板屋根やスレート屋根は夏に表面温度が60℃を超えることもあり、その熱が屋根裏から室内へ伝わって室温を押し上げます。天井が高く空間が広い工場・倉庫では、空調だけで室温を下げるのは難しく、コストもかさみます。だからこそ、熱の入口である屋根で熱を止める「遮熱」という考え方が有効になります。
遮熱施工による具体的な温度変化や費用は、遮熱施工の温度変化と種類別の費用相場で詳しく解説しています。また、暑さは人だけでなく商品や機械にも影響します。詳しくは高温が商品・機材に与える影響をご覧ください。
出典
- 厚生労働省「2024年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
- 厚生労働省「職場における熱中症予防情報」
- 労働安全衛生規則 第612条の2(2025年6月1日施行)
※ 統計・制度は更新される場合があります。最新の数値・要件は各一次情報をご確認ください。